第4章 ファドの夜(中盤戦)

その1)王子と皇后

 

怪しげなファドハウスに行く前のことです。
MACHAKO、この旅でたった一日だけ、ミクシィで知り合った女性と一緒にアルファマのファドに行きました。

今までとは違う所に行って見たい。

電話で予約をしたら(ペンサオンのおじさんに電話してもらった)
「一人50ユーロくらいかかるらしいよ」と言われ絶句の私達。
「そんなに高いの?」
「二人で、じゃなくて?」

でも出演者を聞いて納得です。

そこにはかの有名な(っていったらポルトガルで思い出すアノ人のこと)歌手の妹がその日、出演するのですから。
そして日本で薦められていた、男性歌手の名前、そして今売り出し中の若いファド歌手の名前もありました。

「やっぱ行かなきゃ!」

少しでも節約のため私達は徒歩でアルファマへ。
途中、彼女からこんな話を聞きました。
「こないだ、ここでスリにあって・・・」
「ええ~~~?」

MACHAKO、ポルトガルに来てから一度もヘンな目にあわなかったのは、結構運がよかっただけなのか?と思う感じの事件でした。
うっかりぼ==っと歩いては、やはりいられないようです。

店に着きました。

めちゃめちゃ格調高い感じで、ボーイさんたちも洗練されてます。
(なんだかすごいところに来ちゃった・・・・・ )
今までのカサデファドとは、まったく違うとわかります。

しかしテーブルの多さからいって 、
「ああ、団体観光客がいっぱい来るんだろうなぁ」と予想されました。

案の定、一体どこからこんなに集まってくるの?というくらいの大人数の白人観光客がどどど~~っとやってきました。
(一体この中の何人が本当にファドを聴きたくてここに来てるんだろう)と思う私・・・・・

まぁ思うことは色々です。

ファドが始まりました。

すごく若い女性の歌手です。
声は細いけど、可憐で、大変にきれいな声です。

ここまでにわかっていることで、こちらの女性の若いファド歌手に関してだけですが
ほぼ、みんな、すごい美人。
もうびっくりするくらいの美人ぞろいなのです。。。。(アナモウラやマリザもしかり)

ファドを歌う規準として=まず美しくなきゃだめなのか!?!と思わされるくらい・・・・・・
顔だけじゃなくて、姿もね。みんな細くてきれい。。。。。。

その規準にもれず次の歌手(女性、最近売り出し中)も美人です。
「う~~ん。揃いも揃ってほんとうにすごいな」ヘンに感心するMACHAKO。

くらやみなので、正直顔なんて見えないし、声とかすかな動きしかわからないのですからね~。

普段MACHAKOが歌っているサルサの世界とは間逆!

三番目の歌手が出てきました。
というか。ギターの二人組みのうちの一人が歌い始めました。

その瞬間。世界が止まった。

誰もがそのシレンシオの中にすう~~~っとひきこまれて、その歌の世界にそっとじっといるしかないような声。。。。。

「誰!この人~~~」

暗闇でわからないけど。。。。。
さっきから伴奏していた人みたいです。

3曲、そのシレンシオの中。彼は歌いました。

そのどれもが心にずき~~~~ん。と響き。
そのどのフレーズも心にずどんっと入り込みました。

「本当に聴かされてしまった・・・・・・・・」

場内が明るくなってほんの少し、横顔が見れました。


「・・・・・・・素敵~~~~~♪♪」

こんな王子様みたいな人をMACHAKOは今まで見たことがありません。
(王子様=とてもじゃないけど手が届かない存在)

ぼーーーーっとしてしまいました。

それを見透かしたような目の前のY子ちゃんが
「素敵だね~~~~~~」と言ってくれて、こちらの世界に戻ってこれたアタシ・・・・

「うん。誰なんだろう・・・・・・(目がハート)」

そんなこんななうち。
有名ファド歌手の妹が登場!!!!!!

80歳超えているらしいです。
だからなのか週に1回、月曜の夜、2曲しか歌わないらしいです(この情報、貴重だよ!)。

でもパワーありました。
2曲目はお客さんを巻き込んでのパフォーマンスでした。声はやはり若手にはかなわないのかそんなに大きく出ない。
でもそれ以外で、魅せることってやっぱりとってもできるし、そこが大事だと思わされました。

たった2曲だけど、大御所のオーラを見せて去っていきました。かっこよかったです・・・・・・・

でもMACHAKOとしてはさっきの王子様が気になって仕方ありません。(すっみません~~~)

ああ、早くまた王子が見たい。

2ステ目の女性歌手の歌はそれでもきちんと聴きました。
1ステよりよかったです。

でも歌手の微妙なダンス?(といえるのか?)しながらのファドには、
「見てられんな・・」と心でつぶやいてしまいました。

思うのですが。。。。。。。。あ、、、あとで書こうかな。あとにしよう。

みなさん、この次の(その2)につながる話なので、ここはちょっと待っててください。
「ファドとノリのお話」です。

さて2ステ目も王子は出てきました。心の中で「王子~~~」と叫ぶ私。完全にミーハーになってます。
そして2ステ目もノックアウトされました。

「素敵過ぎる」

その声に、まいりました。
暗いけど、もし見えちゃったらどうなってしまうだろう。。。とかいらんことを考えます。

2ステが終わり、超団体観光客は、帰りました。
皆さん、観光客は絶対に最後までいないことは他の店でもよくわかっているMACHAKO。
Y子ちゃんに
「帰ってからのほうが絶対にいい歌を歌うから、頑張って残ろうね 」

眠そうなY子ちゃんは、MACHAKOの気合にうなづくしかありません。

そのうち、団体が帰ったところ(中央の最高のテーブル)に、あとになって座り込んだ方々がいました。

ああ。これ読んでたらどうする?(いや、絶対に読みに来ない)
日本人団体観光客の皆様です。
15人くらいいたでしょうか?ほとんどがお金持ちそうなおばさまです。
引率の人は男性。なぜか新婚カップルみたいな人も混じっています。

いつもおもうけど
「どういう団体なのだろう??」「ファドが本当に好きなのだろうか?」

まぁさておき。
3ステが始まるまで結構な時間があきました。

ここからあまりファドとは関係がない話にうつります。いやな人は読まないように、悲しくなるから。。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まず、その団体客の中で最高峰に金持ちそうなおば様が、引率の男性を呼びました。

MACHAKOは興味津々です。

なにやら、ボーイさんを呼んだのです。
「何を頼むんだろう」と思いきや。
おば様達、束になってその美形ボーイさんに群がっていきます!


そして
写真をばしゃばしゃと撮りはじめたのです・・・・ボーイさんも顔がひきつっています。

そして、それが収まった頃。。。

もうひとりの恰幅のいいご夫人がまた引率の方を呼びました。
そして、そこに違うボーイさんが来ました。

そこで信じられない光景が!!!
おばさま、ボーイさんの手を「あたしのものよ」とにぎりしめて離しません!

いきなりですよ!?来るなりがば~~~っと・・・・・

引率の人も
「まったく○○さんは~~~」とか言って苦笑い。

悲しい。これだから、日本のおばさまたちは・・・・・MACHAKO、相当にショックです。

Y子ちゃんも
「見てられない」と怒りはじめました。

でも怒っていたのは私達だけではなかった!

今までのエッセイの基本です
「MACHAKO、となりに座った人に恵まれる」

隣の夫婦のうちの奥さんのほうが、ポルトガル語だかフランス語でこう言ったのです。

「日本人、いやねぇ」

めっちゃはずかしい!!!!!!!!!

私だって日本人だもん、こんなの見せられて本当に恥ずかしいです。
そこで私は奥さんのほうを向いて
「本当だね」といいました。
すると奥さんは
「ポルトガル語ができるの?」と目を丸くしていいますので、
「はい。私は日本人です」
と言って見ました。

噴出す奥さん。

「あなた聞いて、この子、日本人でポルトガル語ができるのよ~~~~。じゃあさっきの私の言ったことがわかってるの? 」

「わかってますとも~~」

これで打ち溶けちゃいました。

そこから色々な話をしていく中で
「日本でなにやってるの?」と聞かれ
「サルサイントラと、バンドで歌を・・」

そのいつもの流れで奥様が
「ここでも歌ったらいいのに」とまたいいはじめます。
(まただよ~~~~~~~~!!!!!)

MACHAKOはこのお決まりのパターンにかなり、ドリフ的なものさえ感じます。(すみません)

「でもね。ここは無理だとおもうけどな」
(いや、本当に無理です!)

でも奥さんはひきません。
「ううん。不可能じゃないわ。だって」

その後に続いた言葉!
「私達、ジョージフェルナンドとお友達ですもの 」
。。。。。ジョージフェルナンド。。。。。。

さきほどの王子様です!

なんですと~~~~

「わ・わ・わ・Y子ちゃん・・・・・」

MACHAKOどもってしまいます。
「あの王子様のお友達らしいよ、このご夫婦」
「えええ~~~~~!?!」

そんなこんなで3ステ目が始まりました。
やっぱりなんですが、
超団体が帰ったあとのほうがみなさん歌がいいんです。
今度は2曲ずつ3人が歌いました。

最後にジョージが出てきて、またまた素敵な歌を歌いまして、、、、、、、
そのあと、奥様がジョージをこっちに呼んでくれました。

「ねぇねぇジョージ。この子、歌をやっているのよ。一曲弾いてあげて」
とか「とてつもないお願い」を始めました。

MACHAKOは目の前にいる王子様を明るい中で見て卒倒しそうです。

でもジョージはそんなに軽くなかった。
「今日は無理だよ」と。

そして
私はあこがれの王子様と写真を撮ることに大成功!
(そのときの隣の日本人団体客の反応といったら!「あの子たち日本人だったの~~」って声が聞こえました)

奥様はとても残念そうに、でも最後に
「わたしはあなたのファドの成功をずっと祈っているわ!」と言って帰って行きました。

そして更に笑える一言。
「あなた結婚してるの?」

それに続く言葉
「ジョージはまだ独身よ!頑張って!」(やめて!たおれそう・・・・・)

いい人です。
MACHAKO、いつも隣に座る人に恵まれるんです・・・・・

店を出る頃、Y子ちゃんは眠さでふらふら 。
MACHAKOは素敵な出会いにさらに気持ちがわくわく。

店の出口にジョージがいました。

そして最後に私に
「来年!来年またおいでよ!きっとジョイントしよう。君のファドこれからも頑張って!」
な~~んて、(笑)お世辞にも言ってくれました。うふふ~~♪

「はい。頑張っていっぱい歌を勉強します!」というしかない私。。。

そして周りにいる何人もの店員さんに
「この子はファドを勉強してるんだよ」とわたしを紹介しはじめました。

なんていい人なんだろう。。。。。

王子様がとっても身近に感じてしまった。幸せもののMACHAKOなのでした。

 

 

その2)アルファマ再び 超満員の中で

 

翌日はその例の怪しげなファドに行き。
その翌日、MACHAKOはアルファマの、そう、
「また来ていいのよ~」と言われた店に顔を出しました。

来ていいのよ~歌っていいのよ。が本当かどうかを確かめるために。

アルファマまでの道のりを歩きながらファドを歌う妙な日本人になっています。

店に行くと例の彼女が、すぐに私に気がついて、
「来てくれたのね!!!ありがとう~~」と、とっても素敵な笑顔で迎えてくれました。
レストランの店員さんたちもとても気さくに
「いらっしゃい~~~~ここに座って!何のみたい?」とか言ってくれて

ああ、よかった。本当だったんだ。と安心するMACHAKO 。

最初MACHAKOは、歌い場所にほど近い席に座ってコーラを飲んでいたのですが、 この日はあれよあれよとお客さんが来て、あっという間に満席。

MACHAKOは、自ら
「私、どこでも見れたらいいから、このテーブルは使って」とお店の人にいいましたら、
「じゃあMACHAKOはあそこへいって」

あそこっていうのは
「ファド歌手、出待ち席」(こんな名前じゃないかも)です・・・・

ええ~~~ここに座るのはちょっとな~~~。
MACHAKOこれでもきちんとわきまえているつもりです。

「私はただの観光客。
そして、駆け出し(てもいない)ファド好きな歌い手・・・・」

定番の歌手(女性)がちろっとこっちをみて、なんとなく
「また来たのね~」みたいな目線をくれました。

「歓迎されとらんな~」と感づくMACHAKO。

そのときは2ステの最中でした。

彼女がやってきて、
「MACHAKOは最後に歌いなさいね」といいました。

最後?
トリ?
「えええ~~~~!?」
「大丈夫だって。いいわね!」
うなづくしかありません 。

しかしです。ここまで超満員のお客を見たのは初めて。(初日の店とは雰囲気ってものが違います )

さすがに足が震えてきたMACHAKO。


色々理由があります。
毎日、少しは話をしているものの、日本にいるときに比べたら、ホントに基本的に話す量は減っているし、
大きな声で発声練習なんかも皆無なんですね。(ペンサオンでちょっとやってるけど)
そしてファドを歌うときっていうのはリハももちろんないし。
自分の出番まで、じっとしてなければなりません。
他の歌手の歌を聞いてると、歌詞だって思い浮かべられません。

「まいったよ~」と日本語でいっても誰も助けてくれません 。

しかも持ち歌がないので、(この日までにポルトガルでは歌えないファドも含めて5、6曲しかないワタシ )

「そーだ、こないだとは順番を変えて歌ってみよう」と思いました。
ここまできて、やるしかないんです!

この日の録音を後で聞いたら、学ぶところがいっぱいありました。(これはさておき)

とりあえず、超満員の中。出番は終わり。

席に着くと、前の席のお客さんが
「とってもよかった!」といいに来てくれました。。。。

彼女がやってきました。
「今日もとてもよかったわよ!」
「・・・・そうですか?(ド緊張してたけどなぁ) 」

そして。
「なんであなたのファドがいいか、なんでお客が喜ぶか、あなた自分でわかる?」
え?
いきなりそんなこと言われてびっくりです。

「ここにファドがあるのが聞くとわかるのよ。」
といって私の胸を指しました。

ここにファド?
「でももっと勉強は必要よ。もっともっとポルトガル語を頑張りなさい。応援するから!!!またいつでも来なさいね~~」

涙~~~。

そしてその後に来たお客さんにも私を「日本で頑張っている子」と紹介したりしてくれました。

そのあと、日曜の奇跡のファドの店に寄りました。
ライブ中だったら誰にも会えないなぁと思いながら。
でも入り口にはおじさんがいて、私をみつけるなり
「おお~~~~~~MACHAKO~~~」と言って抱きしめてくれ。

ギタリストやお店のオーナーのママも店から出てきました。
「今日は踊ってくれるのかい~?」ときさくなギターさんたち。
(しかしこの二人の演奏テクニックは本当にすんばらしいのだ!!!!!)

そしてママは、
「あなたにあげたいものあるの」といって一度中にひっこみ。

こないだの私の歌っている写真を大きく引き伸ばしたものを私にくれました。
「ぼけちゃっててごめんね!」

「ううん~~そんなの関係ない~~~!(足は踏んでないよ)」
MACHAKO、みなさんのあたたかさに完全やられました。

「この店はあったかくて好きだなぁ」と心から思いました。

ギタリストさんたちにポルトガルギターが買える店も聞き出しました。

「MACHAKOまた来てね~~~~~」
みんなあったかいです。

その日、タクシーで初めてぼられました。

でも、そんなのも勉強。次回はどうしたらぼられないか学べばいいんです。
(実際その後一度もぼられなかった!)

「人と触れ合わないと歌手は、だめだ。それもちゃんと心が大事だ。」
超基本ですが、そんなことを感じた一日でした。

そして

「こんなアタシが歌えることだけで感謝して生きて行かなきゃ」って本当に思った日でした。

ホント、心からもっと頑張らなきゃ、っと思えた日でした。

 

                               ⇒第5章へ

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初めまして!ファド歌手の

MACHAKO(マチャコ)です。ファドとの出会いは2007年。そこからたった一人での現地リスボン修行が始まったのです。ただひたすらに「ファドを歌いたい」という情熱に突き動かされて・・・続きを読む

 

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